〜数理最適化と市場連動でエネルギーコスト削減と安定供給を両立する「フライングダックシステム」導入の裏側〜
東レ株式会社 三島工場において、エネルギーコスト削減と安定供給を両立するフライングダックシステムを導入いただきました。動力課と生産部署が一丸となり、工場全体の原価低減を実現した背景や導入後の変化についてお話を伺いました。
✔ 製造単価の低下:各種製品の製造単価が目に見えて低下し、他部門から問い合わせが入るほどの明確な成果を達成
✔ 連携の強化:動力課と生産部署が連携する体制を構築し、「攻めの動力」として社内でも高く評価
—— 三島工場の役割について概要をお聞かせください。
三島工場は、繊維、フィルム、医薬品などを製造する東レグループの大規模な複合工場です。全国に13ある工場の一つとして大きなエネルギー使用規模を有しています。
—— 三島工場における動力課のミッションについてお聞かせください。
動力課のミッションは、工場を動かす電気・蒸気・圧縮空気・水・窒素などのユーティリティを「安く、安定して」供給することです。ユーティリティコストの上昇は製品価格に直結するため、製造原価の低減と確実な安定供給を追求しています。
—— フライングダックシステムを知った経緯についてお教えください。
八木氏の講演を聴講した他工場の主任技術者やスタッフから「東レの工場でも大きなコスト削減効果を見込めるのではないか」と連絡を受けたのが始まりです。その後、静岡新聞に掲載されたFlying Duckさんの記事を目にし、再生可能エネルギーの有効利用や余剰電力を活用したトータルコスト低減というコンセプトに強く共感して、すぐに問い合わせを行いました。
東レ株式会社
三島工場 工務部動力課 松本 尚夫様
—— システム導入にあたり、特にどのような成果を期待されていましたか?
電力市場の価格シグナルを活用し、自家発設備や調達バランスを最適化することで、製品の製造原価を明確に引き下げることを期待していました。導入検討フェーズでは売電よりも、太陽光発電の普及に伴って発生している昼間の余剰電力、いわゆる卸電力市場の「ゼロ円電気」をいかに活用するかという点に着目していました。
—— フライングダックシステムの導入に際して、ご担当者としてご苦労されたことはありますか?
新規スタートアップ企業の採用ということもあり慎重な社内調整が必要でした。当時Flying Duckさんは創業2期目ではありましたが、データ・シミュレーションに基づいて導入メリットが明確に示されていることを社内へ粘り強く説明しました。システム導入という技術的な面に加えて、お金の流れも変わるので担当部署に納得してもらえるまで何度も説明し質問に回答していきました。
また、コンサルティングからサービス提供に至るまで特種東海製紙三島工場で確かな実績を残されていること、主任技術者同士で普段から情報交換しているという点もひとつ安心材料としてありました。
—— システムの運用にあたり、生産部署との協力体制はどのように築かれたのでしょうか?
システムの精度を高めるためには生産部署で生産に必要な電気と蒸気の使用量の予測が不可欠になるのですが、従来は日次のエネルギー需給における動力課と生産部署で連携する仕組みはありませんでした。
そこで、「工場全体の原価低減につながる」という明確な目的やその仕組みを丁寧に説明し、関係者の理解を得ることから始めました。結果として動力課と生産部署が一丸となった協力体制を構築でき、社内でも高く評価されています。
オペレーション面では、動力課側が向こう3日間の自家発電設備の運転計画、生産部署が月1回の生産計画を入れるシンプルな運用を定着させました。動力課メンバーがフライングダックシステムから情報をもらい新たな監視システムを内製するなど、活用を進めています。
—— 導入プロジェクトを推進する上での弊社の支援体制はいかがでしたか?
最初はガスタービンから排熱ボイラー、ガスエンジンと様々な設備をどうやってモデル化するのかという不安と、小売の切替とシステムの連動がうまくいくのかという不安はありましたが、豊富な経験や知識・ノウハウをベースに、三島工場の設備仕様に合わせた独自の仕組みを構築していただき、現場に寄り添った丁寧なサポートのおかげで、既存のオペレーションからスムーズにシステム運用を開始できました。
—— 期待されていた原価低減の面も含め、導入後、数値には具体的な変化が生まれましたか?
安価な電力調達による製造原価の低減はもちろんですが、市場の状況に応じて価格が高い時間帯には売電も行うため、システム導入は電力コスト削減に即効性がありました。導入初月の実績を報告した際には、製造原価が目に見えて低下し、生産技術スタッフから「何が起きたのか」と驚きの問い合わせが入るほど、一目でわかる明確な数値成果が現れました。
また、導入メリットの金額は工場内で各生産部署へのインセンティブとして反映することで、現場の貢献度やモチベーション向上につながっています。
大型モニターで説明する河合動力課長
—— こうした全社的な取り組みに対して、他部門や経営層からはどのような評価や反応がありましたか?
関係会社も含めた全社の報告会で今回の取り組みについて報告する機会を頂き、導入初期から「原価が下がり、数値として明確に成果を評価できる」と社内で非常に高い評価を得ています。動力課が主体となって他部署を巻き込み、工場全体に利益を生み出したことで「攻めの動力」として認められました。
管理部門からも数理最適化を活用した先進的な取り組みとして関心を集めています。また、エンジニアリングスタッフ向けには勉強会が開催されるなどポジティブな反響が広がっています。
—— 今後の展望と、当社へ期待することをお聞かせください。
今後はロードカーブ(電力負荷曲線)を把握・分析し、フライングダックシステムを使う前提で生産計画はどうあるべきかを、動力課から生産部署へ逆提案するなどのアプローチも可能だと考えています。自家発電設備が三島工場ほど大きくない東レの他拠点でも調整力として効果を発揮できるポテンシャルを感じていますので、Flying Duckさんからの継続的な提案を期待しています。
さらに、フライングダックシステムを活用する企業の仲間が広がっていくことにも大いに期待しています。導入企業同士でナレッジや意見を交換し合いながら、エネルギー最適化の新たな可能性を共に探求していきたいですね。
株式会社Flying Duck 代表取締役 八木 賢治郎
導入事例として、東レ株式会社 三島工場様の先進的なお取り組みをご紹介できることを大変光栄に思います。
動力課様と生産部署様が連携し、一目でわかる成果を上げてくださったことは、私たちにとっても大きな励みとなりました。三島工場様での取り組みが示す通り、工場の電力調整幅が大きいほど効果が見込め、エネルギーの3E(安定供給、経済効率性、環境適合)へ貢献できると考えております。
「導入企業の仲間を広げ、ナレッジを交換し合いたい」というお言葉は、私たちが目指す未来そのものです。三島工場様からの期待にお応えし、東レ様の他拠点および他企業様への展開を進め、エネルギー最適化を目指す企業の輪を全国へ広げてまいります。
(※情報は2026年10月時点のものです)
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フライングダックシステム詳細のご説明や、導入可能性などについてヒアリングさせていただきます。
特に、蒸気タービン発電機、エンジン発電機などをお持ちの場合、大きな効果が見込まれます。
(それ以外の設備でも効果が出るケースはありますので、お気軽にお問合せ下さい。)