CO2排出量削減には設備投資などのコストが掛かるケースが多いですが、弊社サービスでは脱炭素とコストダウンの両立を目指します。例えば、再エネ余剰の時間帯に自家発電設備の停止や負荷低下によって化石燃料の使用量を減らしつつ、出力が落ちた分は安価な電力を活用することでコストダウンに繋がります。生産設備の稼働も、需給がひっ迫して電力価格が高騰している時間帯は稼働率を落とし、逆に再エネ余剰には生産設備の稼働率を上げて安価な電力の消費量を増やすことで、生産に係るエネルギーコスト・原単位を減らすことが出来ます。出力制御によって捨てられてしまう再エネ電力を余すことなく活用していくことで、脱炭素社会の実現に近付きます。
昼間に太陽光出力が過剰となる「ダックカーブ」に対処するため、再エネ電源の立地場所と大消費地をつなぐための送電網の整備や、系統用大型蓄電池の投資などが計画・議論されています。いずれも数千億円、数兆円単位のコストが掛かり、これらは税金や電気代と言った形で国民一人一人の負担となります(これら取り組みも、脱炭素に向けて重要と考えます)。一方、需要家が再エネ時代に合った賢い電気の使い方に変えていくことは、上述の通り、コストダウンを計りながら余剰再エネを活用して、ダックカーブ解消につなげることができます。このような需要家における取り組みは一般的に「ディマンドリスポンス(DR)」と呼ばれますが、これをさら推進すべく、省エネ法と呼ばれる法律においても、「電気の需要の最適化」が新しく定義されました(2023年4月改正・施行)。需要家が再エネの余剰具合や、需給ひっ迫具合に応じて、積極的に電気の使い方を変えていくことが、さらなる再エネ普及や脱炭素社会実現に向けて重要となります。弊社は、産業需要家の皆様におけるディマンドリスポンス・電気需要最適化の推進を全力でサポートいたします。
DRの実施形態としては、アグリゲータと呼ばれる事業者と契約締結して、需給ひっ迫時や再エネ余剰時にアグリゲータの指令に基づいてアクションを取る、発動型DRというものが普及しています。この実施形態は、需要家としては指令に基づいて電気の使い方を変えれば良いので、DRの第一歩として始めやすく、DRを普及させていくために非常に重要と考えます。弊社はこの発展形、さらに踏み込んだ形として、卸電力市場を活用した自主的・価格型DRを推奨いたします。指令を待つのではなく、需給ひっ迫や再エネ余剰具合を表す「市場の価格シグナル」を見て、自らどのようなアクションを取るかを常に考える必要があるため、実施ハードルも大きく上がりますが、これまでの経験上、DR量もコストダウン効果も、発動型と比べて文字通りケタ違いの効果を生み出すことができます。
製造業のエネルギーシステムは非常に複雑です。自家発電設備は一般的にコージェネレーションと呼ばれる形態が多く、発電に加えて、蒸気などの熱エネルギーを工場内で活用し、これによって高い総合エネルギー効率を実現しています。製造業の各工場においては、熱需要・電気需要の変動に対して、製造原価の最小化を目指して設備の運転を調整・最適化するという努力を日々重ねています。卸電力市場の価格は30分ごとに変動するため、これを活用するにあたっては、ただでさえ複雑な日々の設備運転がさらに煩雑になってしまう恐れがあります。弊社では、数理最適化技術をベースとするAIシステムを駆使して、卸電力市場活用に伴う日々の意思決定・運転判断をサポートいたします。
卸電力市場は、0.01円/kWhという安値から数百円/kWhまで、需給状況・再エネ出力状況に応じて価格が大きく変動します。海外ではマイナス価格が導入されている国も多く、日本においてもその導入が議論されており、将来的に変動幅はさらに大きくなる可能性もあります。産業需要家が卸電力市場を活用していくにあたっては、市場の異常高騰が明日にでも起こる可能性があることを前提に、適切な対応を取り、リスクを最小化・コントロールする必要があります。これまでの経験をもとに、ポリシーの策定から、具体的なリスクヘッジ策の実行まで、弊社にてサポートさせていただきます。
DR能力を向上させる設備投資を行うことで、さらに効果を上げることが可能となります。例えば、生産工程におけるストック容量を増やすことで、再エネ余剰時に製品・中間製品をさらに多く作ることが可能となります。日本でもマイナス価格が実現すれば、電気代を「もらい」ながら生産活動を行うことで、製造原価を大幅に低減することができるかもしれません。自家発電設備においても、最低負荷をさらに下げたり、負荷応答速度を向上させることで、DR能力を向上させることができます。熱需要の脱炭素化が課題である製造業においては、蓄熱装置の導入も有効なオプションとなり得ます。これら設備投資においては、効果計算が難しくなる点が課題ですが、弊社の数理AIシステムを用いて30分毎のシミュレーション計算を行うことで、投資効果を算出することが可能となります。再エネ主力化の時代における製造業のあり方を、産業需要家の皆様とともに追求し、脱炭素社会実現に向けて一歩一歩進んでいきたいと考えています。
上記のような取組みを需要家が進めることは、電力システム・エネルギー供給の安定化に大きく寄与します。例えば需要家工場の自家発電設備は、BTM(behind the meter)と呼ばれ、電力系統から見ると電力メータの向こう側にある設備であり、基本的には電力システムの需給状況に関わらず、工場内での需給最適化を目的に運転されます。弊社サービスを導入いただくと、電力システムの需給状況(市場価格シグナル)に応じて、工場内設備の運転を変更します。つまり、電力システム全体、日本全体の最適化という大枠の中に、1つ1つの工場の運転最適化を組み込むこととなります。統計を見ると国内には自家発電火力が約20GWあり、これは国内総需要の数割に相当する規模です。再エネ主力化社会へ向けては、出力調整が可能なこれら自家発電設備の運転を、個別工場の最適化に加えて、全体の電力システム最適化に組み込んでいくことが急務と考えます。エネルギー安定供給の文脈では、どうしても供給側・系統側の設備投資が議論されがちですが、今ある需要家側設備の運用を変えるだけ(新規の設備投資不要)で大きな効果がでる取組みこそ、まず進めて行くべきと考えています。